乾上

天地否 交わらない 塞がる 新しいものが生まれない

下の卦が坤(地)上の卦が乾(天)でできている卦です。

地はどっしりと全てを包み込む大地、陰の気の象徴。

天はどこまでも広がる空、陽の気の象徴です。

十二消息卦には、「天地否」と天地が反対になる「地天泰」という卦もあります。

「地天泰」では、上に昇る性質の陽(天)が下に、どっしりと静かな陰(地)が上になることで、

自然と循環が生まれ、陰陽が交わりバランスが整います。

一方、今回の「天地否」は、上昇する天は元々上の方にあり、下降する地も元々下の方にあります。

これでは油が分離しているドレッシングのように、陰と陽は交わることなくきれいに別れてしまいます。

男女が交わって子どもが生まれるように、陰陽は交わることで万物を生み出します。

陰と陽が別れたままだということは、未来の生が生まれず状況が塞がっていることを意味します。

十二消息卦では、天地否に至るまでに、段々と下の方から陰がせり上がって来ました。

二段目、左から三番目が天地否ですね。

二段目一番左の天風姤は陰が1つ。異変が生じました。

その隣の天山遯は陰が2つに増えます。それに伴って陽はより上に逃げる形となりました。しかし数ではまだ勝っているので陽には余裕があります。

今回の天地否は陰がさらに増えて3つ。陽の数と並びました。本来、補佐的な動きをする陰が勢いを増し、リーダーとしての陽を駆逐しようとしています。正しい行いもこれでは通らず、多数決では衆愚政治となっていくでしょう。

正しいものは、自分を信じて運気が変わるのを待つのみです。

天地否は処暑の卦

Photo by Ryo Yoshitake on Unsplash

否は、十二消息卦(じゅうにしょうそくか)という、季節を表す12の卦のうちの「七月」に配置されています。

旧暦の七月ですので、太陽暦でいう八月の半ば、処暑(8/23ごろ)からの約一ヶ月を指します。

暦の上では、秋の気配を感じるときと言われていますが、暑さはまだまだ盛りです。

台風が増える時期でもあり、防災グッズの確認など、いざというときの備えが有効です。

中身が弱いので外見を強くしようとする人物

下にある卦が「心の中の自分」、上にある卦が「外に見せる自分」として考えたとき、

心は動かず、主体的ではない、社会的には堂々とした人物と読むことができるでしょう。

安定した状況では、「地」の表す動かないさま、変わらないさまが「例年通り」に変化なくものごとを考え

「天」の表す壮大さが、それを堂々と表現しても上手く行くでしょう。

何代も続く同族会社が、前例を元に上手に商売を続けているような雰囲気です。

地面は植物を育て、私たちを支えてくれますが、地面自体が主役になることはあまりありません。

「地」は人のサポートをして初めて輝く性質なのですが、

外見が「天」であるため、中身とは裏腹に、派手なカリスマの雰囲気を漂わせます。

自分が、人のためにこそ輝くことを受け入れられず、それを弱みだと認識し

鎧のように派手な見た目をまとっています。

自分自身の中で内と外がかみ合っていない、分離している状態です。

「弱い犬ほどよく吠える」と揶揄されないように、

自分らしさを大切にするところからはじめて、徐々に肩の力を抜いていきましょう。

待ちの姿勢 また運勢が変わると信じるのが開運のカギ

占いでこの卦が出た方は、自分が正しいことをしていても、なかなか他の人に受け入れてもらいにくいかもしれません。

周りに流されないで、きちんとした根拠を持って、自分の意見を信じるときです。

しかし、どんなに主張をしてもなかなか道が開けていかない運勢のようです。

能力をアピールすればするほど、嫉妬を買って目の敵にされる可能性も。

ここは待ちの一手です。実を結ばない時期であると割り切って、

他のことをしたり、勉強をしたりして内面の充実をはかり変化の時を待ちましょう。

天山遯 退却 正しく判断した結果のベストな引き際

下の卦が艮(山)上の卦が乾(天)でできている卦です。

山は一番高い地面、高いところに留まり、じっと動かないさまを表します。

天はどこまでも広がる空、陽の気の象徴です。

十二消息卦では、一番下に陰があり、そのほかの5つが陽である「天風后」の次にくる卦です。

天山遯では陰が2つに成長して、そのぶん陽が追いやられる形になっています。

この流れで行くと、陰はまだまだ勢力を伸ばしていきそうです。

様子を見ながら、陽は上に逃げていく形になるでしょう。

天(上卦)は限りなく高いですが、山(下卦)の高さには限界があります。

ここでは、陽は陰が届かないほど遠くに行く能力をもっています。

易では、6本の線にそれぞれ位を設けています。

天山遯は十二消息卦としてみると、下から2番目が陽から陰に変わりました。

下から2番目は、下から5番目の「君主」を引き立てる位です。

陰と陽はペアになると相性が良いので、この卦は、2番目の陰が5番目の陽を上手に引き立てています。

陽が追いやられる形であっても、陰の中に君主を応援する人がいます。

陰の動きに合わせて、押したり引いたりする柔軟性が求められるときです。

天山遯は大暑の卦

Photo by Ryo Yoshitake on Unsplash

遯は、十二消息卦(じゅうにしょうそくか)という、季節を表す12の卦のうちの「六月」に配置されています。

旧暦の六月ですので、太陽暦でいう七月の半ば、大暑(7/21ごろ)からの約一ヶ月を指します。

大暑の始まる数日前(7/19)から、大暑が終わるまでが「夏の土用」

土用は季節の変わり目で、気温が大きく変わったり、体調が崩れたりしやすい時期です。

大暑の一つ前である小暑から大暑が終わるまでが「暑中」

夏の盛りであり、非常に暑い季節にあたります。

むやみに活動せず、天候や体調をしっかり観察する

家で大人しくしている、養生する、という姿勢も大切です。

ポリシーを貫き清く生きる隠者のような人物

下にある卦が「心の中の自分」、上にある卦が「外に見せる自分」として考えたとき、

心は定まっていて穏やか、社会的には堂々として徳のある人物と読むことができるでしょう。

「天」の表すカリスマ性が「山」のように固く定まり、ストイックに清廉潔白を求めます。

自分のポリシーのためなら孤立することもいとわない、

志が高すぎて、他の人がたどり着けないほどの高みに到達する。

そんな人物です。

人間関係でこの卦が出た場合は、自分の行動指針を信じましょう。

人との交流よりも、自分の心と向き合うときです。理想を高く持ち、ストイックに行動できるでしょう。

恋愛や社交は別の機会に取っておくことになりそうです。

状況を分析する冷静さ 引き際の良さが開運のカギ

この卦が出た方は、損切りをする勇気を試されるかもしれません。

どんなに逆境であっても、一つのことを続ける勇気というものもありますが、

状況を冷静に判断して、やめる勇気、中止する力というものもあります。

実は情熱を掛けてやってきたことをストップさせるには大変なエネルギーが必要です。

ここまでやってきたのにもったいない。と思わないで、状況によって柔軟に対応を変えるのが吉と出るでしょう。

がむしゃらに進むだけがゴールへの道ではありません。

押すことと同じくらい、引くことも大切です。

天風姤 思いがけないものと出合う

下の卦が巽(風)上の卦が乾(天)でできている卦です。

風はどこにでも柔軟に入り込む風、または木や種の象徴。

天はどこまでも広がる空、陽の気の象徴です。

陰陽の象徴の一つに「男女」があります。

陽が表す男性の集団に、陰が表す女性がひとり入り込んできた「紅一点」の卦として見ることができます。

男ばかりの集団に、ポツンと女性が入ってきた。

そういう女性は「男勝り」と言われたり、複数の男を手玉に取る「サークルクラッシャー」であると言われたりします。

元々そこに居た陽たちにとって、陰は異質な存在です。

今までの平和をかき乱す可能性を秘めていると同時に、

今まで見つけられなかったモノの発見、陽たちだけでは出来なかったことの芽生えをもたらします。

漫画や小説で、転校生や異星人が現れることで物語が始まるように、

異質なものとの出会いは、波乱ばかりではなく新しい可能性にも開かれています。

天風姤は夏至の卦

Photo by Élisabeth Joly on Unsplash

姤は、十二消息卦(じゅうにしょうそくか)という、季節を表す12の卦のうちの「五月」に配置されています。

旧暦の五月ですので、太陽暦でいう六月の半ば、夏至(6/21ごろ)からの約一ヶ月を指します。

夏至はもっとも昼の時間が長い日です。陰陽で例えると、陽がもっとも強い日と言えるでしょう。

なのに、全部が陽の「乾為天」ではなく、一番下に陰が滑り込んだ「天風姤」が夏至に当てられているのは興味深いところです。

これは個人的な考察になりますが、易では陰が重なると極まって陽に転じ、陽が重なると極まって陰に転じるという考え方があります。最高に良い状態の卦には、「これから下降することを念頭に置くように」という占い結果がでます。

このことから、もっとも陽が高まっているときには、すでに陰が潜んでいるのだ。そういう意味を持って、一番太陽が高くなる夏至に、5つの陽に1つの陰が滑り込む「天風姤」を当てたのではないでしょうか。

リーダーシップがあり柔軟な思考の人物

下にある卦が「心の中の自分」、上にある卦が「外に見せる自分」として考えたとき、

心は臨機応変で、社会的には堂々とリーダーシップをとる人物と読むことができるでしょう。

「天」の表すカリスマ性、積極性が「風」に乗って四方へと伝わります。

力強い様子のなかに優しい気持ち、自分とは違う考えも考慮に入れようとする柔軟性が見えて、良い評判が広がりやすい人です。

この性格がネガティブに表れると、内面が右往左往と迷ってばかりのため、それを悟られまいと他人に対して高圧的な態度を取る人物となります。こちらも風に乗って悪い評判は瞬く間に広がるでしょう。

人間関係でこの卦が出た場合は、柔軟な心を他者への理解に活用しましょう。

常に明るく大きな声と輝く笑顔を忘れないことです。謙虚さを忘れず、知らないことを知らないと言い、新しい出会いから吸収する姿勢を持つと吉。

思いがけないできごとを楽しむ余裕と警戒心のバランスが大切

この卦が出た方は、思いがけない出来事があるかもしれません。

ペースを乱されたり、自分のやり方が通用しなくなったりしてストレスを感じそうです。

しかしそれが、より良いやり方、自分では気付けなかった可能性への糸口ともなるでしょう。

また、新参者、テリトリーの外からひょっこりやってきた人から魅力的な誘いを受ける可能性もあります。

それは、あなたのバランスをかき乱し、陰の世界へと引っ張り込もうとする有害な人物かもしれません。ウマすぎる話、強力な魅力と出合ったら立ち止まる力も必要です。

複数の相手を手玉に取る恋愛のような、関わってもしょうがないことは、そうだと分かった時点で距離を取るのがスマートな解決方法です。

想定外の出来事を許容する懐の深さ、ウマい話への違和感、その両方に立ってものごとを見る力が開運のポイントです。

乾為天 まっすぐに駆け上がる 満ち満ちる 

下も上もともに乾(天)でできている卦です。

天はどこまでも広がる空、陽の気の象徴

それが二重に重なっています。この卦自体が天を表します。

全体の陰陽を見ると、すべてが陽です。

易の64卦には順番があるのですが、この卦は天を表すことで一番最初の卦とされています。

全てが正しく、順調で、その状態が一定期間続くようすを表します。

積極的で正しいことが前提なので、行いが正しくないと、このスムーズな状態は訪れないとも読めるでしょう。

乾為天は小満の卦

Photo by Tunafish Mayonnaise on Unsplash

天は、十二消息卦(じゅうにしょうそくか)という、季節を表す12の卦のうちの「四月」に配置されています。

旧暦の四月ですので、太陽暦でいう五月の半ば、小満(5/21ごろ)からの約一ヶ月を指します。

青葉が茂り、生き物が賑やかに活動し、自然がイキイキと満ちてくる季節です。

衣替えの時期でもあり、夏を感じる日が多くなります。

突進するカリスマのような人物像

上にある卦が「外に見せる自分」、下にある卦が「心の中の自分」として考えたとき、

心の内外がともに(天)積極的な力で満たされている。と読めるでしょう。

自分の中にあふれている強いエネルギーは

自然と物事や人を動かし、自分を高めていきます。

創造的になり、結果を出すために高みを目指します。

一方で、特定の目標にまっしぐらなため、周りの人間に対する配慮は薄いかもしれません。

人間関係でこの卦が出た場合は、周りのことを考えるよりも、自己実現に絞って行動を起こすのが良いとき。他の人との交流は別の時期まで保留が良いでしょう。

最高の時はいつか終わると思うことが大切

この卦が出た方は、しばらく自分のやりたいこと、正しいと思うことを思いっきり実行できるでしょう。

すべてが陽の気で満ち、エネルギッシュで、阻むものがありません。

内なるエネルギーに突き動かされるようにめまぐるしく物事が進むかもしれません。

この卦が出ても、なかなか物事が上手く進まないときは、前提を見直してみましょう。

今の状況に対して相応しい目標や行動が取れたとき、障害はなくなります。

一方で、この状態は常に続くものでないことも考えておく必要があるでしょう。

創造的でエネルギッシュな今だからこそ、万が一の備えにもフットワーク軽く対応できます。