下の卦が坤(地)上の卦が艮(山)でできている卦です。

地はどっしりと全てを包み込む大地、陰の気の象徴。

山は一番高い地面、高いところに留まり、じっと動かないさまを表します。

十二消息卦では、天風姤 → 天山遯 → 天地否 と、段々と下の方から陰がせり上がって

陰が陽を圧倒する様子がありました。

この山地剥に至って、陽はほとんど陰に浸蝕され、剥がれ落ちて、一番上にポツンと残るだけになりました。

悪いものがはびこって、善いものが居場所を奪われている状態です。

占っている人は、前提として陽の立場をとっていると見ます。

今は、陰が大きくなりすぎて、あなたも身動きがしづらい状況と言えるでしょう。

流れを読んで大きな行動に出ないことが大切です。

毎日元気に前進することが良いことだ。一定の成果を上げなければいけないと思いがちかもしれませんが、

易は良いタイミングと悪いタイミングをしっかりと出し、悪いタイミングにはさらに悪くならないように留まるという選択肢を与えてくれます。

留まることが最善の手となることもあるのです。

山地剥は霜降の卦

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剥は、十二消息卦(じゅうにしょうそくか)という、季節を表す12の卦のうちの「九月」に配置されています。

旧暦の九月ですので、現在でいう十月の半ば、霜降(10/23ごろ)からの約一ヶ月を指します。

「霜が降る」という名前通り、場所によっては朝方に霜が見られ、紅葉が鮮やかになる時期です。

暖房器具を出したり、コートが必要になるなど、

陰の象徴する冷たい空気が満ちてくるのを実感できるでしょう。

ルーツを大切に、目下に心配りをする人物

下にある卦が「心の中の自分」、上にある卦が「外に見せる自分」として考えたとき、

心は地面のように動かず、全てを受容し、社会的には山のようにどっしりとした人物と読めます。

この卦は剥ぎ取られるという意味合いがあります。

山が剥落して地面のように平らに削り取られているとみることもできます。

地の表す母や故郷といったものに、山の表す頑なさがしっかりと結びついています。

家族や地元、自分のルーツを大切にする人とも読めますし、

場合によっては、いつまでも実家を出ないとか、

家族の絆を大切にするあまり他がおろそかになるといったふうにも読めます。

山が地面に近づいているというように見た場合、

自分に高い地位があったとしても、目下の人々と交わり、意見を汲み取ろうとする

部下に慕われる人柄が想像できます。

状況が悪いときには無理に動かない

占いでこの卦が出た方は、無理に動かないことが最善手となります。

占いには、「開運法」や「打開策」を求める方も多いと思います。

なにか小さなアクションを起こすことで状況をよくする方法はないか?という目線ですね。

易は時に、解決策として「撤退」や「様子見」、「動かないこと」を提示することがあります。

この卦はまさに「止まるべし」という卦です。

時の流れ、運の流れを読んだとき、動かないことが一番良い方法になることもあるのです。

月に満ち欠けがあるように、ツキにも満ち欠けがあります。

それを理解して、運が弱まっているときには下手に動かない。

動かないことも、時には運の流れに適した行動になるのです。