下の卦が艮(山)上の卦が乾(天)でできている卦です。
山は一番高い地面、高いところに留まり、じっと動かないさまを表します。
天はどこまでも広がる空、陽の気の象徴です。
十二消息卦では、一番下に陰があり、そのほかの5つが陽である「天風后」の次にくる卦です。
天山遯では陰が2つに成長して、そのぶん陽が追いやられる形になっています。
この流れで行くと、陰はまだまだ勢力を伸ばしていきそうです。
様子を見ながら、陽は上に逃げていく形になるでしょう。
天(上卦)は限りなく高いですが、山(下卦)の高さには限界があります。
ここでは、陽は陰が届かないほど遠くに行く能力をもっています。
易では、6本の線にそれぞれ位を設けています。
天山遯は十二消息卦としてみると、下から2番目が陽から陰に変わりました。
下から2番目は、下から5番目の「君主」を引き立てる位です。
陰と陽はペアになると相性が良いので、この卦は、2番目の陰が5番目の陽を上手に引き立てています。
陽が追いやられる形であっても、陰の中に君主を応援する人がいます。
陰の動きに合わせて、押したり引いたりする柔軟性が求められるときです。
天山遯は大暑の卦
遯は、十二消息卦(じゅうにしょうそくか)という、季節を表す12の卦のうちの「六月」に配置されています。
旧暦の六月ですので、太陽暦でいう七月の半ば、大暑(7/21ごろ)からの約一ヶ月を指します。
大暑の始まる数日前(7/19)から、大暑が終わるまでが「夏の土用」
土用は季節の変わり目で、気温が大きく変わったり、体調が崩れたりしやすい時期です。
大暑の一つ前である小暑から大暑が終わるまでが「暑中」
夏の盛りであり、非常に暑い季節にあたります。
むやみに活動せず、天候や体調をしっかり観察する
家で大人しくしている、養生する、という姿勢も大切です。
ポリシーを貫き清く生きる隠者のような人物
下にある卦が「心の中の自分」、上にある卦が「外に見せる自分」として考えたとき、
心は定まっていて穏やか、社会的には堂々として徳のある人物と読むことができるでしょう。
「天」の表すカリスマ性が「山」のように固く定まり、ストイックに清廉潔白を求めます。
自分のポリシーのためなら孤立することもいとわない、
志が高すぎて、他の人がたどり着けないほどの高みに到達する。
そんな人物です。
人間関係でこの卦が出た場合は、自分の行動指針を信じましょう。
人との交流よりも、自分の心と向き合うときです。理想を高く持ち、ストイックに行動できるでしょう。
恋愛や社交は別の機会に取っておくことになりそうです。
状況を分析する冷静さ 引き際の良さが開運のカギ
この卦が出た方は、損切りをする勇気を試されるかもしれません。
どんなに逆境であっても、一つのことを続ける勇気というものもありますが、
状況を冷静に判断して、やめる勇気、中止する力というものもあります。
実は情熱を掛けてやってきたことをストップさせるには大変なエネルギーが必要です。
ここまでやってきたのにもったいない。と思わないで、状況によって柔軟に対応を変えるのが吉と出るでしょう。
がむしゃらに進むだけがゴールへの道ではありません。
押すことと同じくらい、引くことも大切です。