十二消息卦

十二消息卦(じゅうにしょうそくか) それぞれの卦と対応表

十二消息卦(じゅうにしょうそくか)とは、一年のそれぞれの季節に卦を当てはめたものです。

地雷復で陽が一つ生じ、それが大きくなり、また減じていくサイクルを表現しています。

名称地雷復(ちらいふく)地沢臨(ちたくりん)地天泰(ちてんたい)
卦の形
旧暦11月12月1月
新暦12月1月2月
二十四節季冬至〜小寒大寒〜立春雨水〜啓蟄
干支
名称雷天大壮(らいてんたいそう)沢天夬(たくてんかい)乾為天(けんいてん)
卦の形
旧暦2月3月4月
新暦3月4月5月
二十四節季春分〜清明穀雨〜立夏小満〜芒種
干支
名称天風姤(てんぷうこう)天山遯(てんざんとん)天地否(てんちひ)
卦の形
旧暦5月6月7月
新暦6月7月8月
二十四節季夏至〜小暑大暑〜立秋処暑〜白露
干支
名称風地観(ふうちかん)山地剥(さんちはく)坤為地(こんいち)
卦の形
旧暦8月9月10月
新暦9月10月11月
二十四節季秋分〜寒露霜降〜立冬小雪〜大雪
干支

地沢臨の意味 迫り来る 喜んで従う 十二消息卦のうち大寒の卦 

上の卦が坤(地)下の卦が兌(沢)でできている卦です。

地はどっしりと全てを包み込む大地、陰の気の象徴です。

沢は泉や湖、朗らかな川のせせらぎのイメージです。

十二消息卦の順番では、陽が一番下にひとつだけある「地雷復」の次にあたります。

陰の気が極まって陽の卦が出現し、その勢いが伸びて陽がもう一つできました。

陽が順調に上に昇りつつある状態です。

地沢臨は大寒の卦

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坤は、十二消息卦(じゅうにしょうそくか)という、季節を表す12の卦のうちの「十二月」に配置されています。

旧暦の十二月ですので、現在でいう一月の半ば、大寒(1/20ごろ)から立春の終わりまでの約一ヶ月を指します。

もっとも寒い時期と言われ、味噌や凍り豆腐など、寒さを利用した食品の仕込みが行われるタイミングです。

大寒の次は立春であり、冬から春に変化して行く一ヶ月を表す卦です。

ほがらかで穏やかな人物

下にある卦が「心の中の自分」、上にある卦が「外に見せる自分」として考えたとき、

心の中は柔軟でほがらか、対外的には全てを受容する人物と読めます。

上の卦も下の卦も自分がリーダーシップを取るよりも、相手に合わせていくという柔軟性が強く出ています。

目下として愛されたり、かわいがられやすい性格と言えるでしょう。

責任のある仕事や、リーダーを任されたときも、周りの意見を反映させながらまとめ役として動くのを得意とします。

逆に言うと、緊急性のあるときに独断で方針を決めるのは苦手かもしれません。

このタイプの方は、変化の少ない環境や、ひとりひとりの意見を大切にする場所に適性がありそうです。

運勢は上り坂 着地点まで先に考えておくことでさらに開運

占いでこの結果が出た方は、追い風が吹いてきてやりたいことに勢いがつくときです。

積極的に動くための環境が整います。

周りからもあなたの活躍が望まれ、その声に応えて頑張りを見せるときとなるでしょう。

いよいよ本格的なスタートを切ったという気分になれるときですが、

そんなときだからこそゴールを見据えることが大切です。

始めたことはいつか終わる。そこを頭に入れておくだけで、結果がぐんと良くなっていきます。

今は偶然、自分に追い風が来ている。だからいつか風向きが変わるときも来ます。

自分の実力だけではどうにもならない部分があることを知っておくことで

落ち着いて行動できるようになるのです。

地雷復の意味 一陽来復 かえってくる 運気上昇の折り返し地点 十二消息卦のうち冬至の卦 

上の卦が坤(地)下の卦が震(雷)でできている卦です。

地はどっしりと全てを包み込む大地、陰の気の象徴です。

雷は勢いよく進むエネルギー、竜で例えられることもある力強い象徴です。

十二消息卦の順番では、全てが陰の気でできている「坤為地」の次にあたります。

陰の極みである坤為地の状況の中に、一番下から陽が帰ってきた様子と考えられます。

一番下なのでパワーは一番弱いのですが、ここから運気の流れが変わるターニングポイントと言えるでしょう。

このあと陽がどんどんと上へ伸びていくことになります。

地雷復は冬至の卦

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坤は、十二消息卦(じゅうにしょうそくか)という、季節を表す12の卦のうちの「十一月」に配置されています。

旧暦の十一月ですので、現在でいう十二月の半ば、冬至(12/22ごろ)からの約一ヶ月を指します。

冬至は一年のうち昼間がもっとも短く、夜が長くなる日です。

冬至を過ぎると再び昼間の時間が長くなってくるので

冬至が一番太陽の力が弱まる瞬間であり、ここを過ぎてからは運気が上り調子になるという考え方もあります。

勢いを秘めた穏やかな人物

下にある卦が「心の中の自分」、上にある卦が「外に見せる自分」として考えたとき、

心の中にはエネルギーの芽生えがあり、対外的には全てを受容する人物と読めます。

自分の中に能動的な勢いやエネルギーがありますが、それをワガママに貫き通そうとはしません。

周りに合わせることを知っているので、自分のパワーをどう表現していけば良いのか判断できる人です。

ルールや周りの空気に沿って動き、その中で自己実現を成し遂げます。

自然と仲間が集まり、彼らと共によりよい結果を目指せるでしょう。

回復の兆し ものごとを受け入れ、従えば吉

占いでこの結果が出た人は、状況はよりよくなると期待できるときです。

行き詰まりを感じていたことに微かな希望を見いだしたり、

辛いことはいつまでも続かないのだという実感がもてたりするでしょう。

自分に主導権が渡ってくるのを感じたときは、

周りの空気を見ながら、仲間を集めるのに良いとき。

いきなり大きく仕掛けるのではなく、状況の流れに従うことで上昇気流に乗れるでしょう。

坤為地の意味 大地の包容力 人に従うこと 十二消息卦のうち小雪の卦 

下の卦と上の卦が坤(地)でできている卦です。

地はどっしりと全てを包み込む大地、陰の気の象徴です。

二つ重なることで、意味がより強まります。

陰は従順な性質があるとされています。

この卦は、人に従うこと、穏やかに生活することを吉とします。

人を受け入れ従えるのは、心の器の大きさ、包容力のある人間である証です。

坤為地は小雪の卦

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坤は、十二消息卦(じゅうにしょうそくか)という、季節を表す12の卦のうちの「十月」に配置されています。

旧暦の十月ですので、現在でいう十一月の半ば、小雪(11/22ごろ)からの約一ヶ月を指します。

「寒くなって雨が雪に変わる季節」と言われています。チラホラと雪を見ることもあるかもしれません。

木の葉が散って、北風が肌寒くなってきます。

人に従い、よい出会いを得る。人の意見を受け入れる人物

下にある卦が「心の中の自分」、上にある卦が「外に見せる自分」として考えたとき、

心身共に安定し、全てを受容する人物と読めます。

自分ひとりで新しい道を切り開くよりも、

誰かに従ったり、状況に合わせて行動していくのに向いている人物です。

そうしているうちに、良い指導者に恵まれたり、自分を伸ばせる環境にたどり着けます。

また、包容力のある態度でものごとを受け入れれば、自分をよりおおきくできます。

ものごとを受け入れ、従えば吉

占いでこの卦が出た場合は、穏やかに状況に従って行動してみましょう。

先頭に立ってみんなを引っ張っていくよりも、

周りに従うことによって、多くのものを手に入れ、成長できるときです。

普段は食わず嫌いなものも、今ならチャレンジできるかもしれません。

自分からは選び取らないようなものを周りから提案されたときはチャンスです。

あなたの可能性を広げるためにも、与えられたものを受け入れ、人に従ってみましょう。

山地剥の意味 剥がれ落ちる 浸蝕する 十二消息卦のうち霜降の卦 

下の卦が坤(地)上の卦が艮(山)でできている卦です。

地はどっしりと全てを包み込む大地、陰の気の象徴。

山は一番高い地面、高いところに留まり、じっと動かないさまを表します。

十二消息卦では、天風姤 → 天山遯 → 天地否 と、段々と下の方から陰がせり上がって

陰が陽を圧倒する様子がありました。

この山地剥に至って、陽はほとんど陰に浸蝕され、剥がれ落ちて、一番上にポツンと残るだけになりました。

悪いものがはびこって、善いものが居場所を奪われている状態です。

占っている人は、前提として陽の立場をとっていると見ます。

今は、陰が大きくなりすぎて、あなたも身動きがしづらい状況と言えるでしょう。

流れを読んで大きな行動に出ないことが大切です。

毎日元気に前進することが良いことだ。一定の成果を上げなければいけないと思いがちかもしれませんが、

易は良いタイミングと悪いタイミングをしっかりと出し、悪いタイミングにはさらに悪くならないように留まるという選択肢を与えてくれます。

留まることが最善の手となることもあるのです。

山地剥は霜降の卦

Photo by Ryo Yoshitake on Unsplash

剥は、十二消息卦(じゅうにしょうそくか)という、季節を表す12の卦のうちの「九月」に配置されています。

旧暦の九月ですので、現在でいう十月の半ば、霜降(10/23ごろ)からの約一ヶ月を指します。

「霜が降る」という名前通り、場所によっては朝方に霜が見られ、紅葉が鮮やかになる時期です。

暖房器具を出したり、コートが必要になるなど、

陰の象徴する冷たい空気が満ちてくるのを実感できるでしょう。

ルーツを大切に、目下に心配りをする人物

下にある卦が「心の中の自分」、上にある卦が「外に見せる自分」として考えたとき、

心は地面のように動かず、全てを受容し、社会的には山のようにどっしりとした人物と読めます。

この卦は剥ぎ取られるという意味合いがあります。

山が剥落して地面のように平らに削り取られているとみることもできます。

地の表す母や故郷といったものに、山の表す頑なさがしっかりと結びついています。

家族や地元、自分のルーツを大切にする人とも読めますし、

場合によっては、いつまでも実家を出ないとか、

家族の絆を大切にするあまり他がおろそかになるといったふうにも読めます。

山が地面に近づいているというように見た場合、

自分に高い地位があったとしても、目下の人々と交わり、意見を汲み取ろうとする

部下に慕われる人柄が想像できます。

状況が悪いときには無理に動かない

占いでこの卦が出た方は、無理に動かないことが最善手となります。

占いには、「開運法」や「打開策」を求める方も多いと思います。

なにか小さなアクションを起こすことで状況をよくする方法はないか?という目線ですね。

易は時に、解決策として「撤退」や「様子見」、「動かないこと」を提示することがあります。

この卦はまさに「止まるべし」という卦です。

時の流れ、運の流れを読んだとき、動かないことが一番良い方法になることもあるのです。

月に満ち欠けがあるように、ツキにも満ち欠けがあります。

それを理解して、運が弱まっているときには下手に動かない。

動かないことも、時には運の流れに適した行動になるのです。

風地観の意味 正しいものが仰ぎ見られる 正しい行いを示す

下の卦が坤(地)上の卦が巽(風)でできている卦です。

地はどっしりと全てを包み込む大地、陰の気の象徴。

風はどこにでも柔軟に入り込む風、または木や種の象徴です。

十二消息卦では、天風姤 → 天山遯 → 天地否 と、段々と下の方から陰がせり上がって

陰が陽を圧倒する様子がありました。

しかし、この風地観では一転して、上のもの(陽)が下のもの(陰)から尊敬を集めます。

陰が伸びていくさまとしては、読めない部分があるようです。

あえてイメージするならば、沢山の「普通の人」が流入してくると、

かえってカリスマ性のある人が輝いて見える。ファンが付いてくる。という構図と言えるかもしれません。

易では、6本の線にそれぞれ位を設けています。

風地観で残っている陽は、下から5番目の「君主」と、一番上の「隠遁者」です。

一番下〜下から4番目はすべて陰。

陰と陽はペアになると相性が良いので、この卦は、2番目の陰が5番目の陽を上手に引き立てています。

君主は下のものたち皆から仰ぎ見られ尊敬を集めます。

それというのも、風のように柔軟でありながら、軽率な行動を取らない地のような安定感があるからです。

風地観は秋分の卦

Photo by Ryo Yoshitake on Unsplash

否は、十二消息卦(じゅうにしょうそくか)という、季節を表す12の卦のうちの「八月」に配置されています。

旧暦の八月ですので、太陽暦でいう九月の半ば、秋分(9/23ごろ)からの約一ヶ月を指します。

秋分では昼と夜の時間が等しくなり、この日以降、陰の象徴する夜の時間が増えていきます。

秋分を挟んだ前後3日間が秋のお彼岸です。

尊敬を得て落ち着いた行動を取り、天の法則に従う人物

下にある卦が「心の中の自分」、上にある卦が「外に見せる自分」として考えたとき、

心は動かず、安定しており、社会的には柔軟で、風のようにまんべんなく周りを見渡す人物と読めるでしょう。

一般人から仰ぎ見られるというのが卦の主な意味です。

尊敬を集めながらもテングになったり浮き足だったりせず、心の底から安定している状態です。

しかし、全てが安定しすぎて凝り固まっているわけではありません。

上の卦が示す風の要素によって、柔軟性を持った人物と読むことができます。

風はあらゆるところに入り込みます。

この人物の良い噂もまんべんなく広がるでしょう。また、本人の目線も人々をまんべんなく見渡しています。

軽々しく行動せず、決まりをしっかりと守ることで、さらに尊敬を集めるでしょう。

落ち着いて基本的なことを丁寧に行うのが開運のカギ

占いでこの卦が出た方は、落ち着いた生活をしていれば後輩や目下の人物から尊敬を集めるでしょう。

落ち着いた生活というのは、決まり事をきちんとすること。

靴を脱いだら揃えるとか、家に帰ったら手を洗うとか、そういった小さな事からも人柄が表れます。

さらに、人に見せるために派手なことをしたり、張り合ったりしないこと。

軽々しく大袈裟な行動を取らないことで、あなたの誠実さが周りに理解されます。

天地否 交わらない 塞がる 新しいものが生まれない

下の卦が坤(地)上の卦が乾(天)でできている卦です。

地はどっしりと全てを包み込む大地、陰の気の象徴。

天はどこまでも広がる空、陽の気の象徴です。

十二消息卦には、「天地否」と天地が反対になる「地天泰」という卦もあります。

「地天泰」では、上に昇る性質の陽(天)が下に、どっしりと静かな陰(地)が上になることで、

自然と循環が生まれ、陰陽が交わりバランスが整います。

一方、今回の「天地否」は、上昇する天は元々上の方にあり、下降する地も元々下の方にあります。

これでは油が分離しているドレッシングのように、陰と陽は交わることなくきれいに別れてしまいます。

男女が交わって子どもが生まれるように、陰陽は交わることで万物を生み出します。

陰と陽が別れたままだということは、未来の生が生まれず状況が塞がっていることを意味します。

十二消息卦では、天地否に至るまでに、段々と下の方から陰がせり上がって来ました。

二段目、左から三番目が天地否ですね。

二段目一番左の天風姤は陰が1つ。異変が生じました。

その隣の天山遯は陰が2つに増えます。それに伴って陽はより上に逃げる形となりました。しかし数ではまだ勝っているので陽には余裕があります。

今回の天地否は陰がさらに増えて3つ。陽の数と並びました。本来、補佐的な動きをする陰が勢いを増し、リーダーとしての陽を駆逐しようとしています。正しい行いもこれでは通らず、多数決では衆愚政治となっていくでしょう。

正しいものは、自分を信じて運気が変わるのを待つのみです。

天地否は処暑の卦

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否は、十二消息卦(じゅうにしょうそくか)という、季節を表す12の卦のうちの「七月」に配置されています。

旧暦の七月ですので、太陽暦でいう八月の半ば、処暑(8/23ごろ)からの約一ヶ月を指します。

暦の上では、秋の気配を感じるときと言われていますが、暑さはまだまだ盛りです。

台風が増える時期でもあり、防災グッズの確認など、いざというときの備えが有効です。

中身が弱いので外見を強くしようとする人物

下にある卦が「心の中の自分」、上にある卦が「外に見せる自分」として考えたとき、

心は動かず、主体的ではない、社会的には堂々とした人物と読むことができるでしょう。

安定した状況では、「地」の表す動かないさま、変わらないさまが「例年通り」に変化なくものごとを考え

「天」の表す壮大さが、それを堂々と表現しても上手く行くでしょう。

何代も続く同族会社が、前例を元に上手に商売を続けているような雰囲気です。

地面は植物を育て、私たちを支えてくれますが、地面自体が主役になることはあまりありません。

「地」は人のサポートをして初めて輝く性質なのですが、

外見が「天」であるため、中身とは裏腹に、派手なカリスマの雰囲気を漂わせます。

自分が、人のためにこそ輝くことを受け入れられず、それを弱みだと認識し

鎧のように派手な見た目をまとっています。

自分自身の中で内と外がかみ合っていない、分離している状態です。

「弱い犬ほどよく吠える」と揶揄されないように、

自分らしさを大切にするところからはじめて、徐々に肩の力を抜いていきましょう。

待ちの姿勢 また運勢が変わると信じるのが開運のカギ

占いでこの卦が出た方は、自分が正しいことをしていても、なかなか他の人に受け入れてもらいにくいかもしれません。

周りに流されないで、きちんとした根拠を持って、自分の意見を信じるときです。

しかし、どんなに主張をしてもなかなか道が開けていかない運勢のようです。

能力をアピールすればするほど、嫉妬を買って目の敵にされる可能性も。

ここは待ちの一手です。実を結ばない時期であると割り切って、

他のことをしたり、勉強をしたりして内面の充実をはかり変化の時を待ちましょう。

天山遯 退却 正しく判断した結果のベストな引き際

下の卦が艮(山)上の卦が乾(天)でできている卦です。

山は一番高い地面、高いところに留まり、じっと動かないさまを表します。

天はどこまでも広がる空、陽の気の象徴です。

十二消息卦では、一番下に陰があり、そのほかの5つが陽である「天風后」の次にくる卦です。

天山遯では陰が2つに成長して、そのぶん陽が追いやられる形になっています。

この流れで行くと、陰はまだまだ勢力を伸ばしていきそうです。

様子を見ながら、陽は上に逃げていく形になるでしょう。

天(上卦)は限りなく高いですが、山(下卦)の高さには限界があります。

ここでは、陽は陰が届かないほど遠くに行く能力をもっています。

易では、6本の線にそれぞれ位を設けています。

天山遯は十二消息卦としてみると、下から2番目が陽から陰に変わりました。

下から2番目は、下から5番目の「君主」を引き立てる位です。

陰と陽はペアになると相性が良いので、この卦は、2番目の陰が5番目の陽を上手に引き立てています。

陽が追いやられる形であっても、陰の中に君主を応援する人がいます。

陰の動きに合わせて、押したり引いたりする柔軟性が求められるときです。

天山遯は大暑の卦

Photo by Ryo Yoshitake on Unsplash

遯は、十二消息卦(じゅうにしょうそくか)という、季節を表す12の卦のうちの「六月」に配置されています。

旧暦の六月ですので、太陽暦でいう七月の半ば、大暑(7/21ごろ)からの約一ヶ月を指します。

大暑の始まる数日前(7/19)から、大暑が終わるまでが「夏の土用」

土用は季節の変わり目で、気温が大きく変わったり、体調が崩れたりしやすい時期です。

大暑の一つ前である小暑から大暑が終わるまでが「暑中」

夏の盛りであり、非常に暑い季節にあたります。

むやみに活動せず、天候や体調をしっかり観察する

家で大人しくしている、養生する、という姿勢も大切です。

ポリシーを貫き清く生きる隠者のような人物

下にある卦が「心の中の自分」、上にある卦が「外に見せる自分」として考えたとき、

心は定まっていて穏やか、社会的には堂々として徳のある人物と読むことができるでしょう。

「天」の表すカリスマ性が「山」のように固く定まり、ストイックに清廉潔白を求めます。

自分のポリシーのためなら孤立することもいとわない、

志が高すぎて、他の人がたどり着けないほどの高みに到達する。

そんな人物です。

人間関係でこの卦が出た場合は、自分の行動指針を信じましょう。

人との交流よりも、自分の心と向き合うときです。理想を高く持ち、ストイックに行動できるでしょう。

恋愛や社交は別の機会に取っておくことになりそうです。

状況を分析する冷静さ 引き際の良さが開運のカギ

この卦が出た方は、損切りをする勇気を試されるかもしれません。

どんなに逆境であっても、一つのことを続ける勇気というものもありますが、

状況を冷静に判断して、やめる勇気、中止する力というものもあります。

実は情熱を掛けてやってきたことをストップさせるには大変なエネルギーが必要です。

ここまでやってきたのにもったいない。と思わないで、状況によって柔軟に対応を変えるのが吉と出るでしょう。

がむしゃらに進むだけがゴールへの道ではありません。

押すことと同じくらい、引くことも大切です。

天風姤 思いがけないものと出合う

下の卦が巽(風)上の卦が乾(天)でできている卦です。

風はどこにでも柔軟に入り込む風、または木や種の象徴。

天はどこまでも広がる空、陽の気の象徴です。

陰陽の象徴の一つに「男女」があります。

陽が表す男性の集団に、陰が表す女性がひとり入り込んできた「紅一点」の卦として見ることができます。

男ばかりの集団に、ポツンと女性が入ってきた。

そういう女性は「男勝り」と言われたり、複数の男を手玉に取る「サークルクラッシャー」であると言われたりします。

元々そこに居た陽たちにとって、陰は異質な存在です。

今までの平和をかき乱す可能性を秘めていると同時に、

今まで見つけられなかったモノの発見、陽たちだけでは出来なかったことの芽生えをもたらします。

漫画や小説で、転校生や異星人が現れることで物語が始まるように、

異質なものとの出会いは、波乱ばかりではなく新しい可能性にも開かれています。

天風姤は夏至の卦

Photo by Élisabeth Joly on Unsplash

姤は、十二消息卦(じゅうにしょうそくか)という、季節を表す12の卦のうちの「五月」に配置されています。

旧暦の五月ですので、太陽暦でいう六月の半ば、夏至(6/21ごろ)からの約一ヶ月を指します。

夏至はもっとも昼の時間が長い日です。陰陽で例えると、陽がもっとも強い日と言えるでしょう。

なのに、全部が陽の「乾為天」ではなく、一番下に陰が滑り込んだ「天風姤」が夏至に当てられているのは興味深いところです。

これは個人的な考察になりますが、易では陰が重なると極まって陽に転じ、陽が重なると極まって陰に転じるという考え方があります。最高に良い状態の卦には、「これから下降することを念頭に置くように」という占い結果がでます。

このことから、もっとも陽が高まっているときには、すでに陰が潜んでいるのだ。そういう意味を持って、一番太陽が高くなる夏至に、5つの陽に1つの陰が滑り込む「天風姤」を当てたのではないでしょうか。

リーダーシップがあり柔軟な思考の人物

下にある卦が「心の中の自分」、上にある卦が「外に見せる自分」として考えたとき、

心は臨機応変で、社会的には堂々とリーダーシップをとる人物と読むことができるでしょう。

「天」の表すカリスマ性、積極性が「風」に乗って四方へと伝わります。

力強い様子のなかに優しい気持ち、自分とは違う考えも考慮に入れようとする柔軟性が見えて、良い評判が広がりやすい人です。

この性格がネガティブに表れると、内面が右往左往と迷ってばかりのため、それを悟られまいと他人に対して高圧的な態度を取る人物となります。こちらも風に乗って悪い評判は瞬く間に広がるでしょう。

人間関係でこの卦が出た場合は、柔軟な心を他者への理解に活用しましょう。

常に明るく大きな声と輝く笑顔を忘れないことです。謙虚さを忘れず、知らないことを知らないと言い、新しい出会いから吸収する姿勢を持つと吉。

思いがけないできごとを楽しむ余裕と警戒心のバランスが大切

この卦が出た方は、思いがけない出来事があるかもしれません。

ペースを乱されたり、自分のやり方が通用しなくなったりしてストレスを感じそうです。

しかしそれが、より良いやり方、自分では気付けなかった可能性への糸口ともなるでしょう。

また、新参者、テリトリーの外からひょっこりやってきた人から魅力的な誘いを受ける可能性もあります。

それは、あなたのバランスをかき乱し、陰の世界へと引っ張り込もうとする有害な人物かもしれません。ウマすぎる話、強力な魅力と出合ったら立ち止まる力も必要です。

複数の相手を手玉に取る恋愛のような、関わってもしょうがないことは、そうだと分かった時点で距離を取るのがスマートな解決方法です。

想定外の出来事を許容する懐の深さ、ウマい話への違和感、その両方に立ってものごとを見る力が開運のポイントです。

乾為天 まっすぐに駆け上がる 満ち満ちる 

下も上もともに乾(天)でできている卦です。

天はどこまでも広がる空、陽の気の象徴

それが二重に重なっています。この卦自体が天を表します。

全体の陰陽を見ると、すべてが陽です。

易の64卦には順番があるのですが、この卦は天を表すことで一番最初の卦とされています。

全てが正しく、順調で、その状態が一定期間続くようすを表します。

積極的で正しいことが前提なので、行いが正しくないと、このスムーズな状態は訪れないとも読めるでしょう。

乾為天は小満の卦

Photo by Tunafish Mayonnaise on Unsplash

天は、十二消息卦(じゅうにしょうそくか)という、季節を表す12の卦のうちの「四月」に配置されています。

旧暦の四月ですので、太陽暦でいう五月の半ば、小満(5/21ごろ)からの約一ヶ月を指します。

青葉が茂り、生き物が賑やかに活動し、自然がイキイキと満ちてくる季節です。

衣替えの時期でもあり、夏を感じる日が多くなります。

突進するカリスマのような人物像

上にある卦が「外に見せる自分」、下にある卦が「心の中の自分」として考えたとき、

心の内外がともに(天)積極的な力で満たされている。と読めるでしょう。

自分の中にあふれている強いエネルギーは

自然と物事や人を動かし、自分を高めていきます。

創造的になり、結果を出すために高みを目指します。

一方で、特定の目標にまっしぐらなため、周りの人間に対する配慮は薄いかもしれません。

人間関係でこの卦が出た場合は、周りのことを考えるよりも、自己実現に絞って行動を起こすのが良いとき。他の人との交流は別の時期まで保留が良いでしょう。

最高の時はいつか終わると思うことが大切

この卦が出た方は、しばらく自分のやりたいこと、正しいと思うことを思いっきり実行できるでしょう。

すべてが陽の気で満ち、エネルギッシュで、阻むものがありません。

内なるエネルギーに突き動かされるようにめまぐるしく物事が進むかもしれません。

この卦が出ても、なかなか物事が上手く進まないときは、前提を見直してみましょう。

今の状況に対して相応しい目標や行動が取れたとき、障害はなくなります。

一方で、この状態は常に続くものでないことも考えておく必要があるでしょう。

創造的でエネルギッシュな今だからこそ、万が一の備えにもフットワーク軽く対応できます。