表現する全ての人に勇気を与える『ベッカー先生の論文教室』

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小学生の夏休みに、子供と父親のペアで北海道旅行に行くイベントがありました。私は運良く当選して、初めての船の旅と北海道の自然を楽しみました。

北海道から帰るとき、ミルクキャンディーを4,5袋お土産に買いました。子どもの小遣いからクラス全員にお土産を買うのは難しく、一粒ずつでも喜んでくれるだろうと自分なりに考えた結果でした。

夏休み中の登校日にそれを持って行きました。しかし、もう1人同じイベントに参加したクラスメイトは全員に立派なクッキーを配っていたのでした。私は急に、自分の買った1人一粒ぽっちのミルクキャンディーが恥ずかしくなって、配れなくなってしまいました。

心配性で、自分の選んだことに自信がなくて、他の人と比べてしまうあの頃の気持ちは、今も心の中にあります。文章を書いて世の中に出すということも、惨めでつまらないものを書いているような、自分のやっていることになんの価値もないような、胸の詰まる気持ちになることがあります。

文章を書くこと、人に何か伝えること、占いをして見えない誰かにイメージを伝えること。そんなことに悩んでいる私に、ひとつの答えを示してくれる本がありました。

『ベッカー先生の論文教室』ハワード・S・ベッカー


タイトルの通り学術論文を仕上げるためのノウハウが書かれています。でも決して難しい内容ではありません。表現しようとする人たちを、広く応援してくれる本でした。その中で私が気に入った内容を少しご紹介します。

最初から上手く書こうとしなくて良い

「最初に一回書くだけでうまくやろうとして全く何もしない結果になってしまう祟りを避ける」

きれいに書かなければ、恥ずかしい文章を作り出してはいけない。そんな自分から受けるプレッシャーを弾き飛ばして、とりあえず何かを書いてみましょう。

大体で良いから書いていくこと。最初に書いたことが駄文だと思っても大丈夫。あとでいくらでも直せるからです。

作品はドアから出す

「他の人の感覚からすると、出来上がっていると判断できる作品」

を、積極的に公表する。自分の書いたモノに、どのような役割を果たして欲しいのか。そこがはっきりしていればゴールを見つけられます。「もう少し頑張ればもっと良くなる」といつまでも発表できない気持ちにも「誰かに見せて酷評されたらどうしよう」という不安にも打ち勝って、ともかく誰かに見てもらいましょう。

作品は、駄作と傑作の2種類だけではない

「もし、実際に何か書いたとしたら、勝ちが少しと負けが少しあることになるのです。」

完璧というたった1つのゴールは、本当は存在しないかもしれません。輝かんばかりの、一ミリの隙もない表現をしたいと望んで、いつまでも進めないことがあります。自分の作ったものが、あまりにも出来が悪いように感じて、深く落ち込むこともあります。でも本当は、全ての作品はゼロかイチかじゃない。良いところと悪いところのブレンドなのです。良い部分を世に出せるということに希望を見いだしてよいのです。

紹介した本

ベッカー先生の論文教室
ハワード・S. ベッカー 慶應義塾大学出版会 2012-04-01
売り上げランキング : 616801

by ヨメレバ
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